・心理学部への進学を考えているが最近人気が高まっていると聞き不安。
・漠然と心理に興味があるが心理学部がどのような勉強をしているのかわかならい。
・心理学部に進んだ先にどのような進路があるか知りたい。
結論としては、心理学部は近年非常に人気が高まっている学部ですが、一時期※1に比べると難易度倍率共に落ち着いており、しっかりと対策を行えば十分合格を狙うことができます。心理学部では臨床・社会・認知・行動・発達など数多くの分野に分かれているため、自身が学びたいと考える心理学がどの分野であるかを検討する必要があります。心理学部の就職先としては心理で学ぶ内容を生かすフィールドもありますが、多くは民間企業での活躍が目立ちます。
心理学部の特徴と注意すべき事項
心理学部の特徴
心理学部は人間の心のメカニズムを科学する学問です。
心理学で学ぶ内容は、大きく分けると基礎心理学と応用心理学に分けることができ、基礎心理学では人間の心理における法則などを学び、応用心理学は基礎心理学で身につけた知識を実際の現場で実践を行います。
基本的には大学入学後の1・2年生で基礎心理学を学び、基礎が身についた3・4年生で応用心理学を学びます。
また、心理学は対象をどのようなモノにするのかによりさらに細分化することができるため、自身の学びたい心理学を実際に深めていくのはこのフェーズからになります。
一点、基礎心理学と応用心理学は密接に関わっているため、基礎を学んだら応用に進むというイメージだけでなく、基礎と応用を反復することが求められることが多い点は注意が必要です。
基礎心理学
認知心理学
知覚心理学
学習心理学
人格心理学
社会心理学
応用心理学
教育心理学
臨床心理学
スポーツ心理学
健康心理学
犯罪心理学
ここでは基礎心理学や応用心理学の一例を挙げることでその分野の広さを改めて理解できたらと思います。
基礎心理学には、ものを見ることや音を聴く仕組みなどの知覚と認識を研究する知覚心理学や、人や集団の行動を観察しそこに法則性を研究する社会心理学などがあります。
応用心理学には、子どもや教育にまつわることを学ぶ教育心理学、カウンセリングなどの療法を学ぶ臨床心理学、犯罪や犯罪者の心理を学ぶ犯罪心理学など、これ以外にもたくさんの領域があります。
心理学を学びたい人は、対象をどういったものにしたいのかによって学ぶことができる環境も大きく異なるため、大学選びは慎重に行う必要があります。
心理学部に進む上で注意すべき事項
心理学部に進む上で注意すべき点は心理学部の領域が非常に多岐にわたっている点と、心理学を学ぶ上では数学が必要になる点です。
1点目の心理学の領域の広さに関しては前述した内容になりますが、心理学は一言で心理学と言っても基礎心理と応用心理に分かれる上、その中でもさらに複雑な細分化が起きます。
当然のことながらその全てを研究することは1つの大学では困難であり、さらには大学4年間のうちにその全ての知識に触れようとするのもなかなかに厳しくなります。
大学入学前に自身の学びたい心理学を限定することは難しいことと思いますが、ある程度当たりをつけて進学をすることでミスマッチを減らすことができるでしょう。
大学で研究している教授や講師などが開講している研究室での研究内容を確認することで、イメージを沸かすことが可能であるためぜひ確認しましょう。
2点目は心理学を学ぶ上では数学的素養が必要になることです。
心理学というと、相手の心を読んで考えていることを当てるようなイメージを持たれる方も多いですが、大学で行う心理学はそういった内容ではなくあくまで研究となります。
特に心理学では1人の人間を研究することも大切ですが、より多くのサンプルから規則性を見つけることで普遍的な法則を導き出すことが大切であり、そういったアプローチには必ずと言っていいほど東経の知識が必要になります。
統計に関しては当然ですが手計算で行うことはありませんが、高校卒業程度の数学の知識がないと統計から正しくデータを読み取ることが難しくなるため、不安である方は数学の学習に力を入れることをおすすめします。
心理学部の卒業後の進路
心理学部も文系学部になるので、基本的にはどのような業界にも就職することは可能ですが、心理学部が持つ独自の特性によって他の文系学部に比べて就職活動において苦労することが多い点に注意が必要です。
まず、心理学部を卒業した学生の多くが考える進路として大学時代に学んだ知識を生かしたカウンセラーがありますが、カウンセラーに関しては近年公認心理師という資格が新設されたため、公認心理士の有資格者であることはその後の進路に大きく影響します。
心理カウンセラーという資格は公認心理師の独占業務ではないため、公認心理師でないと心理の仕事に携わることができないかというそうではありませんが、そもそも心理の資格は数が多くない上に、その数少ない仕事の枠に有資格者が数多く応募することを考えると資格を取ることは不可欠と言えるでしょう。
現在、公認心理師は2023年度までの移行措置期間ですが、移行措置期間が終わり次第これまでの臨床心理士と公認心理師は別の資格となり、医療機関などの専門機関では公認心理師が必要資格になると考えられます。
大学に設置されている公認心理師養成プログラムを終了したのちに大学院まで進学し計6年間の課程を受けた者のみが公認心理師の受験資格を得られる厳しい前提条件となっており、これまで以上に心理に関わる仕事は厳しくなっています。
このような進路を検討している場合は大学院までの進路希望とそれに係る費用等も検討した上で進学するように気をつけましょう。
またその他の理由として、就職に活きる内容をあまり学部時代に学べないという観点があります。
文系学部の多くは法学や経済学など実社会で利用される領域を4年間を通して学び、基礎と応用を身につけることで企業へのアピールポイントとしていることが多いです。
大学在学中に学んだ内容が企業活動に直接役に立つことはほぼないと言っても良いですが、これらを学びの中には実際の企業を題材にしているものも多いため、学んだ内容と実際の社会が密接に関わっているためイメージを膨らませやすいという強みがあります。
対して心理学を専攻している学生は大学在学中の多くを人間の心理や行動の研究に当てているため、実際の就職活動となった際に学んできた内容と問われる内容のギャップに驚くこともあります。
こうしたギャップを乗り越えられるのであれば就職活動時点の知識の多寡はさほど関係ないので問題ありませんが、心配である場合は在学中より社会や経済活動にアンテナを伸ばしておくと良いでしょう。
貴方におすすめの学びとは?
心理学部がおすすめな人
ここまでの内容と重複しますが、心理学部がおすすめな人は心理学に対する学問的興味がある人と、将来カウンセラーになることを真剣に検討している人になります。
大学はそもそも純粋な学問的な興味を深めにいく場所であるため、就職活動に有利になるからといって特定の学部に進む必要はなく、興味が強い進路を純粋に目指したいのであれば心理学部はおすすめと言えます。
また、先ほども書きましたが心理学部に行ったからといってそれが直接有利不利に働くことは全くないため、大学の中で心理を学びながら就職活動のことも意識をするのであれば民間企業へ就職も問題ありません。
公認心理師を目指す場合に関しては大学院までの課程が必須となるため、自身の将来設計の中で大学在学中に加えて2年間の大学院進学が許容できるのであれば迷わず進学しましょう。
公認心理師に関してはまだ作られてから数年程度の資格であるため、資格を取り巻く環境も大きく変わる可能性があるので情報収集は怠らないよう心がけましょう。
偏差値40~50程度の受験生
偏差値50~60程度の大学の中で心理学を専攻するのであれば立正大学心理学部がおすすめです。
立正大学心理学部では臨床心理コースと対人社会心理コースの2コースに分かれて専門的な内容を学ぶことが可能となっています。
臨床心理コースでは心の悩みを理解し、心理的援助を行うための土台となる学問を修めることで医療や福祉の現場での活躍を目指す学生が多いコースとなります。
会社で働く社会人や、学校で悩む学生、または病院で再起にむえてリハビリを行う患者さんなどに対して心の悩みに寄り添い、よりよく生きることができるようにサポートしたいと考える受験生はこちらのコースがおすすめです。
対人社会コースでは人間の行動に着目し、社会の中でどのように行動するかを研究するコースとなっており、対人や対組織に対しての立ち居振る舞い方やその中で起きる不和の解消を目指します。
こちらのコースはより実生活に密接に関わる領域と言え、学ぶ内容や興味の持ち方によってはマーケティングなどの行動心理学の領域とも重なってくるため、企業の経済活動にも興味がある受験生にとっておすすめのコースと言えます。
また、立正大学には公認心理師を養成するためのプログラムが備え付けられているため、将来公認心理師として働きたいと考えている人も問題なく進学することができます。
偏差値50~60程度の受験生
偏差値50~60程度の大学の中で心理学を専攻のするのであれば明治学院大学心理学部がおすすめです。
明治学院大学心理学部は心理支援力の育成をモットーに基礎領域と応用領域の両方をバランスよく学びながら、心理支援力と定義づけられた自己と他者の理解力・関係性理解力・問題解決力を身につけることを目的としています。
基礎系応用系含め15名の教授を抱える大きな規模の心理学部であり、知覚・社会・認知・生理・臨床・教育など多岐にわたった範囲を学ぶことができる懐の深さを持っている大学のため、大学入学後に自身の学びたい心理の領域がなかったというミスマッチが起きにくい大学でもあります。
また、後述する立教大学と同様に心理学部で修めた内容を一般就職に活かせるよう大学側からの就職支援も多く、さまざまな業種に就職していることも評価できます。
心理を学びながらも将来的には民間企業へ就職を検討したいと考えている受験生は明治学院大学を一考しても良いでしょう。
また、立正大学と同様に明治学院大学でも当然のことながら公認心理師の必要科目が揃えられているので安心して進学できます。
偏差値60~70程度の受験生
偏差値50~60程度の大学の中で心理学を専攻のするのであれば立教大学現代心理学部がおすすめです。
立教大学現代心理学部は心理の名を冠する学部において日本の私立大学の中で最も偏差値が高い学部となります。
現代心理学部は心理学科と映像身体学科の2つの学科から構成されており、どちらも非常に魅力的なカリキュラムを持っています。
心理学科は他大学と同様に基礎心理と応用心理の両方を学ぶことができるカリキュラムを持っていますが、その中でも重視されているのが心理学を自ら研究できる力となります。
1年次に心理学の基礎を学んだ後は国内外を含む文献を自ら読み解き研究する力を養い、それを3年次以降で少人数教育の中で磨くことにより、教わるだけでなく学ぶ力を身につけます。
また、基礎心理と応用心理だけでなく最新の研究が進む心身医学等の分野についてもその内容に触れることができることや、心理学を学問として修めるだけでなく応用する力としての問題解決力に力を入れていることも魅力的です。
また、映像身体学科は他大学にはないユニークな学科となっており、身体と映像を思考・表現・社会といった幅広い切り口で学ぶと同時に、生態心理学や認知心理学の視点からも学んでいきます。
これまでの心理学的な側面だけでなく、心理学的なアプローチから見る思想や芸術などの着目しており、表現者としての心rを考えている人にとっては唯一無二の学部と言えます。
本格的なスタジオの準備もあるので、心理と同時に映像なども学びたい人には魅力的な学科です。
一点注意があるとすれば、現代心理学部は新座キャンパスとなるので、池袋で華やかな学生生活を送りたい人には少し物足りない部分があるかもしれません。
また、こちらもこれまで紹介した立正大学や明治学院大学と同様に公認心理師になるために必要な授業を設けているので、将来心理師としての道を検討している人も候補の1つになるでしょう。