・外国語学部への進学を考えているが、どのようなことを勉強するのか知りたい。
・外国語学部と文学部や国際学部との違いが気になる。
・外国語を学ぶ際におすすめの大学があれば知りたい。
結論としては、外国語学部は外国語の習得に特化した学部であり、大学によっては英語・フランス語・中国語のようなメジャーな言語以外も学ぶことができる場合もあります。文学部は言語域全体の文化を学ぶ中で語学を学び、国際学部は英語の習得よりも運用に着目している点で外国語学部と異なります。おすすめの大学としては、神田外国語大学、獨協大学、上智大学等が挙げられます。
外国語学部の特徴と注意すべき事項
外国語学部の特徴
外国語学部は学部名の通り、外国語を学ぶ学部であることは当然ですが、多くの大学には外国語学部の設置は少ないのが実情です。
また、文学部の中に英米文学科が設置されている場合や、昨今人気の国際学部が設置されていることもありますが、それぞれの学部が何を勉強する学部であるか明確に伝わっていないことも多いため、受験生の多くが混乱する学問系統でもあります。
外国語学部・文学部における外国文学科・国際系学部の3学部はどれも外国語の学習に重きを置いていることは間違いありませんが、それぞれ外国語学習への向き合い方や学びの領域などが異なる点に注意が必要です。
1つ目、外国語学部は外国語の習得や運用を重視するカリキュラムを持っていることが多く、文法や読解の学習ももちろん行いますが、発音や会話などコミュニケーションとしての語学を習得させることに重きを置いているため、端的に言えば言語を話すことを目的とする学部と言えます。
2つ目、文学部外国文学科は言語域の文化・宗教・思想などの理解を通して、その言語が成り立ってきた歴史的な背景や言語持つ文法の構造などを研究する性質が強い学部であるため言語を理解することを目的とする学部と言えます。
3つ目、国際系学部は複雑化する国際的な政治・経済・環境・文化・思想など多岐にわたってテーマについて横断的に学習する学部であり、それらの広いテーマを英語によって履修することを目的としているため、外国語を用いて学ぶことを目的とする学部と言えます。
外国語学部に進む上で注意すべき事項
前述の内容との重なりもありますが、外国語学部に進学を希望する場合、大学4年間を外国語に費やす覚悟を持つ必要があるでしょう。
コミュニケーションを前提とする授業が多いため、他の文系学部のようにレポート提出や試験での得点以外にも授業への取り組みの意欲等も成績に直結する学部であり、苦手意識を持つことや積極的に授業に取り組まないなどの状況に陥ると容易に単位を落とすことにつながり、結果として留年等の可能性も十分あり得ます。
法学部や経済・経営学部等は高校等で授業として展開されることがないため、大学から一律にスタートし学生感に差はありませんが、外国語に関してはそれまでの学習状況によりスタート時点で大きな差となっていることも多く、その差によって大学での学びのモチベーションに影響をしないよう注意が必要となります。
また、学部によっっては海外への留学を卒業の要件とする場合もあり、こう言った場合は大学への学費に加えて、海外の大学への留学費用や海外での滞在費用などもかかります。
大学や留学先によっても費用は異なりますが、50万円程度から150万円程度と開きがあり、進学を希望する大学の情報を調べておいた方が無難でしょう。
ちなみに以下は神奈川大学の留学費用や奨学金などの紹介になり、人気のアメリカやヨーロッパなどは50万円以上かかると考えて良いでしょう。
外国語学部の卒業後の進路
外国語学部を卒業する学生の多くは語学力を生かす就職する傾向が強いことが特徴として挙げられます。
語学力を生かす就職先と言うと、受験生の方には想像がつきにくい領域ですが、外資系企業だけでなく日本企業でも多くの企業にとって語学力がある人材の必要性は高まっています。
例えば、通販サイトの大手である楽天市場を運営する楽天株式会社では社内公用語を英語とすることを数年前に発表しており、日本国内で働くにしても今後は今まで以上に英語等の外国語を話す能力は大切になってきます。
外国語学部の実際の就職先企業は大学によっても異なりますが、イメージを膨らますために外国語学部の中でも私立大学トップクラスの難易度を誇る上智大学外国語学部の就職先を紹介します。
上智大学外国語学部の就職先は年度にもよりますが、やはり外資系企業であったり、主要なマーケットを海外に持つような企業も多く、非常に多岐にわたる領域にサービスを展開する外資系メーカーである日本IBMや、先ほども述べた楽天、また総合商社として海外から日本に多くの資源や商品を運ぶ丸紅などが挙げられます。
将来的に海外をフィールとして活躍したい受験生は外国語学部への進学を検討してみてもよいでしょう。
ただ、一点注意としては外国語はあくまで手段であり、専門分野的な強みではないと言うことです。
特に外資系の企業への就職を希望する場合、同じ企業の採用枠を争う相手は日本人であるとは限らず、外国語を母語とする留学生の可能性もあります。
そう言った場合、外国語を話すことができることはスタートラインにしか過ぎず、より専門性が高い学生や大学在学中に多くのことにチャレンジした学生の方が有利になります。
外国語学部に進むことを希望する受験生は外国語の習得だけでなく、より視野を広げることが大切になります。
貴方におすすめの学びとは?
外国語学部がおすすめな人
前述の内容ですが、外国語学部は外国語の習得を目的とした学部であり、在学中に時間の多くを語学学習に費やします。
大学入学時に比べ語学の力を大きく伸ばしたい受験生にとっては魅力的な学部と言えるでしょう。
また、文系の学部は学部によって特定の業界への就職が制限されることはありませんが、海外をフィールドに活躍したい場合はもちろんですが、昨今では日本を企業活動の中心とする外資系企業で働く場合であっても、外国語を話すことができることは大いに強みになるため、そう言った団体や企業で働く上で外国語学部出身は有利に働く可能性があります。
外国語の習得のみでは強みにならないことは先ほども述べましたが、スタートラインに立っていることは事実であるため、将来そういった方向性への進路を検討している場合は外国語学部は魅力的な進学先といえます。
ただ、文学部外国文学科などでは外国語の習得だけでなく、言語域の文化や歴史などの学習や研究を行うことで、言語を取り巻く環境全体を専門知識として得ることができます。
また、国際系学部では言語の習得ではなく、国際社会で問題となっている諸所の出来事を英語というコミュニケーションツールを用いて学び、議論等を深めることができます。
各学部にはそれぞれの強みがあるため、外国語を学ぶのだから外国語学部に進学をするという早合点をしないことも大切になります。
偏差値40~50程度の受験生
偏差値40~50程度の受験生が外国語学部を選ぶのであれば、おすすめの大学として神田外国語大学を挙げます。
神田外国語大学は名前の通り外国語教育に力を入れている大学であり、語学の習得を目標とするのであればこの偏差値帯では群を抜いて環境が整っている大学と言えます。
神田外国語大学は外国語学部のみで教授・准教授・講師の数が100名程度在籍しており、さらに数多くの外国人教員が語学習得のサポートを行います。
人気の高い英米語学科、スペイン語やポルトガル語を専攻とするイベロアメリカ語学科、中国語や韓国語だけでなく東南アジアの多くの言語を学ぶアジア言語学科、そして英語の習得だけでなく運用までも視野に入れた国際コミュニケーション学科の4つの学科に分かれており、自身の興味に沿った領域を学ぶことが可能です。
また、上記に挙げた4つの学科以外の言語も選択することができる点も神田外国語大学の懐の深さと言え、ロシア語・イタリア語・アラビア語など他大学では選べない言語も設置してある点が評価できます。
欠点を挙げるとするならばキャンパスが東京ではなく千葉に所在しているため、大学在学中は困ることは少ないかもしれませんが、就職活動等で東京を拠点とする際に少々難儀する可能性があります。
偏差値50~60程度の受験生
偏差値50~60程度の大学の中で外国語学部を学びたい場合は獨協大学外国語学部をおすすめします。
獨協大学外国語学部は獨協大学の看板学部であり、ドイツ語とドイツ文化を学び、国際人を育てるという理念の基に設立された獨逸学協会学校からの歴史を持った伝統のある学部です。
獨逸学協会の名前の通り、ドイツ語を学ぶ上では言わずと知れた名門大学ですが、ドイツ語以外にも英米語学科やフランス語学科、そして国際交流学科を設置しています。
専任教員数と兼任教員数を合わせると200名を超える教員を抱えている上に、外国人の教員も教授・准教授といった形でそれぞれ研究室を持っています。
特に充実している学科としては当然ドイツ語学科が挙げられ、ネイティブの講師から徹底的な指導が行われる1・2年次の課程の後に3年次以降のコース選択を行います。
言語文学思想研究コース・芸術文化研究コース・現代社会歴史研究コースの3つに分かれ、ドイツ語を取り巻く様々な周辺知識を身につけます。
後述する上智大学外国語学部ドイツ語学科が専任教員数8名に対し、獨協大学外国語学部ドイツ語学科の専任教員数が22名となっており、獨協大学が以下にドイツ語教育に力を入れているかを窺い知ることができます。
外国語学の中でも特にドイツ語学科を希望するのであれば私立大学の中でトップクラスの環境と言えます。
獨協大学の欠点を挙げるとするならば前述の神田外国語大学と同様ですが、キャンパスが埼玉県に所在しており、都心へのアクセスが悪いことが挙げられます。
大学生が志望する企業の多くが東京に拠点を置いており、採用選考はもちろんですが、大学在学中にも行われるインターンシップ等も東京を中心に行われます。
特に外資系企業は本選考とされる選考活動の前に、青田買いと言われる事前インターンシップの実施が盛んであり、そういったインターンシップに参加をしないと選考が不利になる可能性があります。
こういった学外の活動を考えると東京へのアクセスの悪さはデメリットと言えます。
偏差値60~70程度の受験生
偏差値60~70程度のトップクラスの外国語学部を狙う受験生におすすめの大学はやはり上智大学外国語学部になります。
上智大学外国語学部は国立大学を含めた日本国内の大学の中でもトップレベルの環境を持った大学であり、上智大学以上の環境を持つ大学は国立大学である東京外国語大学ぐらいと言えるでしょう。
よって、私立大学を検討している受験生が外国語を学ぶ環境を求めるのであれば上智大学以上の環境はありません。
上智大学外国語学部では外国語を学ぶことは多様性を理解することと同義であると定義しており、そのテーマに沿って3言語3視座という教育方針を持っています。
昨今外国語教育において当然のように重視される4技能の向上により言語運用能力を身につけながら、英語・日本語を加えた3つ目の言語圏地域を研究する3言語の姿勢と、その中で養われるのが言語域の多様性を理解し、日本国内に限らず世界を俯瞰し問題意識を育み、地域や世界と比較することで日本再認識する、という3視座が上智大学外国語学部の方針と言えます。
外国語学部と言うと、外国語の習得ばかりに目が向いてしまいますが、上智大学ではそもそも母国語である日本語の表現力や論理力等にも力を入れている特徴があり、外国語を話せるだけの人材ではなく外国語を活用し国際社会において掛け替えのない人材を育成することに力を入れています。
専攻言語の選択としては英語・ドイツ語・フランス語・イスパニア語・ロシア語・ポルトガル語を設置しており、およそ受験生が希望する言語は準備されていると考えて良いでしょう。
また、上智大学外国語学部には上記で紹介した専攻言語意外にも韓国語・中国語・ビルマ語・タイ語・カンボジア語・フィリピン語・インドネシア語などのアジア地域の言語も選択科目として履修できる仕組みがあるので、興味がある受験生はそう言った言語の履修も検討しましょう。
ただ、アジア以外のアフリカ地域の言語等は上智大学外国語学部には設置がないため、総合グローバル学部等での履修が必要になります。
加えて、アジアやアフリカ地域の言語はあくまでも選択科目という位置付けのため、これらの言語のスペシャリストを目指す場合は東京外国語大学などのより細かい専攻がある大学も検討しましょう。