現代文の勉強って何から手をつけたら良いかわからないですよね。
学校の先生に聞いても「本を読みなさい」と若干曖昧なアドバイスを受けることが多いです。こんな感じ。
先生:「まあ、新書とか新聞とかだよ」
生徒:「どれくらい読んだら良いんですか?」
先生:「それは、まあたくさん読めたほうがいいね。そんなことよりまずは一冊読んでみようか。」
生徒:「・・・はい。」
何をどの程度読んだらいいんだ!全くわからん!
でも実は、現代文にも正しい攻め方があります。
わざわざいらない苦労はする必要ないですし、逆に必要な苦労はたくさんしたほうがいいです。
今回は皆さんの現代文学習の一助になればと思い、知識的な側面から攻める現代文の記事を書きます!
ちなみに、以前現代文の記事を投稿していますので、こちらも参考にしてください!
[blogcard url=”https://manabu.biz/?p=139″]
教養力って何?なんで身に付けたほうがいいの?
まず、教養力とは何か、から説明します。
現代文という科目では必ず問われるテーマというものがあります。
この必ず問われるテーマとは近代への批判です。
近代という時代については後ほど説明しますので、近代の解説は割愛します。
この近代への批判というテーマを理解した上で本文を読解するのと、全く理解しない状態で本文を読解するのでは、読みやすさや読解の正確さに大きな差が出ます。
これをわかりやすく説明すると以下のようになります。
道徳の授業であれば、いじめを抑制するような学びを与えようという方向性を皆さんなら感じることができるはずですね。
この先生、いじめはダメだよという方向へ持って行きたいんだろうなあ、みたいな感じです。
しかし、現代文になると途端に文章の方向性がわからなくなってしまいます。
なぜなら、入試現代文が持って行きたい方向性がわかっていないからですね。
教養力があるとこの方向性による壁を容易に乗り越えることができます。
機械論的自然観と来れば、こういう結論になるのだろうな、と予測がつくということですね。
現代文が苦手な受験生の多くが、自分自身の読解力が低いから現代文の問題が解けないと考えていますが、読解力以外に必要なことが教養力になります。
また、この教養力は範囲によってもばらつきがあることも多々あります。
具体的には特定の範囲だけ詳しく、そういった範囲の出題があれば解くことができるが、範囲が全く変わってしまうと解くことができない場合です。
スポーツが好きな受験生であれば、スポーツに関する文章は読むことができる場合はありますが、哲学や文化の話になった途端解けなくなってしまうようにですね。
なので、幅広く教養を身につけることで多くの出題テーマに対応することを目指しましょう。
科学論の方向性
それでは一つ目の科学論から軽く触れてみますね。
皆さん、科学ってなんですかって聞かれたら答えることができますか?
なんとなーくわかるけど、具体的に説明するのは難しいですよね。
でも、入試現代文には科学とは何かという明確な定義づけがあります。
それは機械論的なものの見方をすることです。
それでは機械論ってなんでしょうか?
機械論とは、全ての物事は部品が組み立てられて作られていると考える考え方ですね。
車とかはわかりやすく、ドアがあって、タイヤがあって、窓があって、みたいな感じです。
目の前の現象や、生き物、無生物、などを部品の集合体として考えることによって、分析的な思考が生まれてきます。
今までは訳がわからなかったことも、ひとつひとつに分けて考えていけば、完全に理解できるという考え方ですね。
今までは神様が作ったと信じていた全ての物事を、分析(分けて考えること)の対象として見ることで、人間は多くの知識を得ることになります。
神様のせいで雨が降るのではなく、雨雲の中に水分が存在するから雨が降るのですね。
このように考えることで分析ができるようになり、さまざまな進歩が生まれてくるということですね。
ここまではメリットだらけですが、入試現代文では機械論的自然観は否定されることが多いです。
そそれは、人間が全てのものを分析の対象として考えたことによって、人間以外の全てを人間より下位に置いてしまったからです。
分析をする人間と、分析をされる人間以外という感じです。
これによって、自然破壊や動物の絶滅、生命的倫理観の崩壊など、様々な弊害が出てきます。
入試現代文で科学論が現れたら、この科学の裏表を意識しながら読解すると良いと思います。
言語論の方向性
言語論でよく出てくる方向性は記号としての言語についてです。
鶏が先か卵が先かと言われたら、皆さんだったらどう答えますか?これは非常に難しい質問です。
これと少し似ていますが、モノが先かコトバが先かというテーマが言語論では非常に問われます。
表現のツールとしての言語はもちろん大切ですが、記号としての言語の役割がよく問われることになります。
引用:weathernewsより
虹は何色でしょう?と日本人が問われれば、虹は7色です!と答えるのが常識ですよね。
でも国によっては2色と答える人たちもいるようですよ。
これはなぜ起きるのでしょうか。
南アジアのバイカ族は色彩を見分ける能力が著しく低いのでしょうか、でもそれは違います。
紺色と青色を分けて考えない国では、紺色も青色も同じ色ということです。
ちょっと不思議な感覚ですが、この例によって伝えたいことは、虹という連続的なものを言葉によって区切ることで7色として認識しているということです。
これは虹に限った話ではなく、様々なシーンでおきます。
入試現代文において言語論に関する内容が出てきたら、モノはコトバによって恣意的(意図を持って)に区切られているという方向性を理解しながら読むと読みやすいですね。
文化論の方向性
次は文化論の方向性です。今この記事を読んでいる貴方の服装を当てますね・・・。
貴方はきっと洋服を着ているのではありませんか?きっと正解でしょう!
決してバカにしている訳ではありません。
今世界の多くの人は洋服、つまり西洋文化の服を着ていますね。
普段から和服で過ごしている人はきっと多くないはずです。
これはなぜでしょうか。
今から遡って2oo年ほど前に産業革命がイギリスにおいて起きました。
これは技術に関する革命ですが、これによってイギリスを中心とするヨーロッパの文化が世界に途轍もないスピードで広がって行きました。
なぜ西洋の文化は世界中に広まったのでしょうか。
それは西洋の文化が圧倒的に便利だったからです。
和服より洋服の方が便利ですし、ちょんまげより短髪の方が便利ですよね。
だから世界中が西洋文化に染まり、西洋以外の文化が駆逐されていきます。
そして、この便利至上主義は文化に優劣をつけていきます。
より便利な文化のほうが優れているのだ!という考え方ですね。
世界中がヨーロッパ風の方が便利なのではと考える方向へ進んで行きます。
そして、それによって起きたのが少数文化の否定に繋がっていきます。
しかし、現代ではこの文化絶対主義は否定されています。
世界にはいろんな文化があり、それぞれの文化がそれぞれの良いところを持っているという文化相対主義が現代文の主流となっています。
哲学論の方向性
お次は哲学論です。
哲学の内容って様々ですよね。
善ってなんだろう、人ってなんで生きるんだろう、みたいになんか深く考える学問ってイメージですが、実は大きい目標があります。
それは、物事にみんなが納得できる説明をするということです。
特に入試現代文における哲学の重要テーマは、絶対的な自己です。
近代哲学では物事を分析したり、認識したりすることに大きな力を使っています。
その際に、分析や認識している自分自身にとって確実なものとは何かを考えることが大切になります。
世の中の全てのことを疑ったり、他人を疑ったり、そんな疑いという行為を繰り返していても、疑っている私自身は絶対に確実に存在するという結論を哲学者デカルトは下します。
ここは難しい場合は読み飛ばしちゃってください!
そしてここからが大切です。
認識をしている私自身は絶対的に存在するという考え方から、自己とはなんだろう、他者とはなんだろうという考え方に進歩して行きます。
また、私を強く認識することは、私以外を強く認識することにもつながります。
これは科学論の中でも述べた機械論的自然観を持つきっかけにも繋がっていきました。
近代と現代の方向性
最後は近代と現代の方向性について紹介します。
ここまでの内容でも多く出ていますが、入試現代文のテーマは近代批判です。
そして、現代は切り離された時代ではなく、現代は近代の延長線にあります。
科学論や文化論でも触れた機械論的自然観や便利さが、もっとも大切だと考えられていた時代が近代です。
人間を全てのものより上位に起き、冷静で合理的であれば皆が幸福になれると考えていた時代ですね。
多くの国が豊かさと引き換えに、文化を失っていった時代でもあります。しかし、現代はそうでしょうか?
日本の中だけで考えても幸せの定義は人それぞれになっていますね。
自分てなんだろう?、幸せってなんだろう?など、幸せの形や個人の考え方が多様化しているのが現代です。
今までのように画一的な価値観の中では生きられない時代がやってきています。
そんな現代のあり方について述べられている現代文も非常に多いです。
合理化の近代と、多様化の現代と切り分けて考えてみると良いと思います。
まとめ
いかがでしたか?
現代文で問われるテーマについて少しは深めるきっかけになったら幸いです!
ちなみに今回は『現代文キーワード読解(Z会出版)』を参考にして記事を書かせていただきました。
一つ一つのテーマをさらに深めたいという人は是非一読することをおすすめします。
それでは今回はここまでとします!また次回の記事でお会いしましょう!