・日本大学と東洋大学のどちらに進学するか悩んでいる。
・日本大学と東洋大学のおすすめの学部が知りたい。
・日本大学と東洋大学の間には偏差値や就職力の差があるの?
この記事は、そんな疑問を持つ方に向けて書いています。
結論として、日本大学と東洋大学は世間的に中堅大学として知られる大学であり、どちらに進学したとしても受ける評価に大差はありません。日本大学は実学系や理系の学部に強みがあり、東洋大学は語学力強化や人文系の学部に強みがある大学と言えます。両大学の間には学部によって若干の偏差値差がありますが、就職の際に差をつけられることはありません。
日本大学と東洋大学を数字で比べてみる
日本大学 | 項目 | 東洋大学 |
9.1% | 上場企業就職率 | 9.1% |
52pt | 偏差値 | 53.5pt |
3,548pt | 立地 | 2,993pt |
2,381名 | 講師数 | 770名 |
67,353名 | 学生数 | 30,826名 |
13学部 | 学部数 | 7学部 |
日本大学と東洋大学を比較したところ、レーダーチャート上は大きな開きが出るという結果となりました。
日本大学が日本一の生徒数を誇るマンモス大学であるため、学生数のスコアが大きくなっていることに加えて、その膨大な学生数をサポートする講師数、そして学生の多さに比例して多くの学部を持っているため、その点のスコアに大きな開きが出ました。
一方で、上場企業への就職力や偏差値等はほとんど差がないと言ってもよく、規模の点を除けばほぼ似通った性質を持った大学と言えるでしょう。
学生数の多さは卒業後に先輩との繋がりを求める学生にとっては非常に魅力的な指標ですが、日本大学は典型的な学部割れキャンパスの大学となっており、学部ごとにキャンパスが点在している特徴を持っています。
日本大学がいかに多くの学びの幅を持っている大学と言えど、他学部のキャンパスまで足を運ぶことはスケジュール等の都合上難しいことも多く、単科大学としての規模に収まってしまっていることが現実です。
一方、東洋大学は多くの学部を白山キャンパスに持っているため、異なる学部の授業も取得しやすいという特徴があります。
各学部の偏差値で比較する
日本大学 | 学部系統 | 東洋大学 |
学部(偏差値) | 学部(偏差値) | |
法 (64) | 法律政治 | 法 (62) |
商 (63) | 経済経営 | 経済 (62) |
経済 (62) | 経営 (62) | |
– | 社会 | 社会 (62) |
文理 (62) | 文化 | 文 (64) |
国際関係 (59) | 国際 | 国際 (66) |
– | 教育 | – |
理工 (60) | 理工 | 生命科 (54) |
生物資源科 (60) | 理工 (54) | |
工 (51) | ||
生産工 (51) | ||
医 (74) | その他 | 国際観光 (66) |
歯 (62) | 福祉社会デザイン (61) | |
薬 (60) | 健康スポーツ科 (58) | |
危機管理 (60) | 総合情報 (57) | |
松戸歯 (56) | 情報連携 (56) | |
スポーツ科 (56) | 食環境科 (56) | |
芸術 (56) |
上記はベネッセ主催の駿台ベネッセ模試のデータを掲載しているマナビジョンより2022年度の最新のデータを引用したものです。
日本大学と東洋大学の学力面での概観ですが、まずどちらの大学も非常に多くの学部を有する大学であることが特徴として挙げられます。
また、どちらの大学も多くの学部が偏差値50台後半をマークしており、関東圏の中堅私立大学として存在感があることを窺い知ることができます。
日本大学は伝統的に法学部などの実学系学部に強みを持っている大学であり、文系では法学部の偏差値が毎年上位になっています。
また、東洋大学には存在しない医学や薬学などの医療系分野にも強みがありますが、日本大学は前述の通りキャンパス割れ大学であるため、学部間の関係は非常に希薄であると言えるでしょう。
対して東洋大学では国際学部や国際観光学部といった語学力に力を入れている学部が上位にマークしており、近年学生に人気が高い学問領域では東洋大学に軍配があがります。
東洋大学は文部科学省指定のSGU(スーパーグローバルユニバーシティ)の内の1校であり、語学を学ぶ環境として非常に優れていることが客観的に証明されています。
私立大学では早慶上智を始め、数々の難関校がSGUに指定されていますが、日東駒専からは東洋大学のみの選出となっています。
卒業後の進路で比較する
日本大学 | 順位 | 東洋大学 |
企業(人数) | 企業(人数) | |
警視庁 (58) | 1 | 教員 (44) |
アウトソーシングテクノロジー (51) | 2 | 富士ソフト (25) |
教員 (42) | 3 | システナ (24) |
システナ (35) | 4 | ベネッセスタイルケア (24) |
日研トータルソーシング (32) | 5 | 星野リゾート (19) |
東日本旅客鉄道 (30) | 6 | 警視庁 (16) |
大成建設 (30) | 7 | 東日本旅客鉄道 (14) |
公務員 (29) | 8 | イオンリテール (12) |
メイテック (28) | 9 | 日本生命保険 (12) |
積水ハウス (27) | 10 | 日本年金機構 (12) |
次に日本大学と東洋大学の就職先に関する比較になりますが、両大学とも特徴のある企業や組織がランクインしています。
日本大学は前述の通り法学部に強みを持っている大学であるという傾向もあり、警視庁や公務員といった法学の知識を要求される分野での活躍が目立っています。
また日本大学と東洋大学の両大学に見られる特徴として、教員への就職も非常に多くなっており、これはGMARCHなどを含めた多くの大学と同様の特徴と言えるでしょう。
東洋大学において特筆すべき項目は星野リゾートへの内定人数が多いことが挙げられるでしょう。
東洋大学は観光学に力を入れている大学であるため、リゾート開発やそれに伴うレジャー事業に力を入れている星野リゾートと親和性が高いことが見て取れます。
また、注意点としてGMARCH以上の大学と比較すると金融系の就職が比較的に少なくなっていることが挙げられます。
金融系の企業は間口が広く多くの学生を採用することで知られていますが、世間的なイメージも非常に良いため人気の就職先となります。
日東駒専レベルの大学となると、就職活動の際のフィルターにはかからないことが多いですが、その先の競争となると他大学の学生に打ち勝っていかなければならないため、この点は覚悟が必要と言えます。
日本大学と東洋大学のおすすめの学部は?
ここまでは全体的な項目に加え、受験生が気になる偏差値や就職力について比較してきました。
ここからは両校の得意な分野を踏まえ、多くの学部の中からさらにおすすめできる学部の紹介を行っていきます。
日本大学のおすすめの学部
日本大学は日本法律学校という専門学校であったルーツを持ち、建学以来法学部が看板学部として認識されています。
法学部では法律に関しては勿論ですが、政治学や公共政策などの政治関連の学問やビジネスなども含めて総合的に学習するカリキュラムが組まれています。
多くの大学では法学部に法律学科や政治学科が含まれることが多いですが、日本大学法学部では法律学科と政治学科に加えて、新聞学科・経営法学科・公共政策学科が設置されており、1つの法学部の中に5つの学科が設置されるケースは国内を探しても少なく、日本大学が法律学を幅広く学ぶ環境を整えていることが分かります。
日本大学法科大学院の司法試験合格者数は私立大学中6位をマークしており、これは関関同立の雄である同志社大学や人気私立大学である明治大学よりも多い合格者数となっております。
学生の多くが法律に関わる仕事や公務員を目指す傾向も強く、日本大学もそれらの学生のサポートのため省庁や役所の職員や人事に関わる担当者を招聘し、合格に向けた説明会などを実施しています。
また、学問系統が理系である人は東洋大学より日本大学をおすすめします。
そもそも日東駒専というのは文系学部の大学群であり、理系に限ると日本大学以外の東洋大学・駒澤大学・専修大学はほぼ存在感がないと言っても良いでしょう。
ここでは日本大学の理系分野の強さを理解するために、理工学系統の中でも非常に人気の高い建築士を例に挙げて考えてます。
公益財団法人建築技術教育普及センターより公開されている令和2年度大学別1級建築士試験合格状況によると、日本大学は全大学中1位の162名となり、東洋大学は37名と大きく水をあけられている状態です。
日本大学は学生が多いので建築士の合格者数も多くなる傾向は勿論あるため、日本大学の理系の学生が東洋大学の理系の学生より個別で秀でているとは限りません。
ですが、建築士資格を取得した後に社会で働く上で、建築士のOBOGが多い大学である日本大学は社会に出てからも同門の先輩たちと協力をできるという強いメリットを持っています。
建築という一分野で説明しましたが、その他理系学問においても日本大学は東洋大学を引き離しています。
東洋大学のおすすめの学部
東洋大学はスーパーグローバル大学に選ばれている大学であるため、国際関係の学部に非常に力を入れている大学です。
スーパーグローバル大学とは国際的な活動が文科省に認められ、国と共に学生の国際競争力の向上を高めるため選ばれた大学のことです。
日本全国で37の大学が選ばれており、当然ですが日東駒専では東洋大学しか選ばれていません。
スーパーグローバル大学には国より支援金が支給されており、国際競争力を高められるように大学の環境を整えるチャンスが他の大学より多く存在します。
東洋大学の国際学部と国際観光学部には、留学の制度が整っていることはもちろんですが、外国人留学生の比率も高いことが特徴として挙げられます。
東洋大学国際学部と日本大学国際関係学部の学生数と外国人留学生の数を比較してみると圧倒的に差があることがわかります。
外国人留学生の数は関われる外国人の数は、日本にいながら異文化に関わることができる可能性の数であるため、語学力をより向上させたい人は東洋大学がおすすめと言えるでしょう。
また、国際系学部が非常に強い東洋大学ですが実は哲学専攻の名門でもあります。
東洋大学は井上円了という哲学者が創設した哲学館という私塾が発展した大学という経緯もあり、白山の哲学と呼ばれ哲学を志す学生にとっては非常に魅力的な環境です。
哲学というとカントやデカルトのような過去の哲学者の著作を輪読し掘り下げていくような印象を受けるかもしれませんが、東洋大学ではそういった近代哲学の知識を身につけることは勿論、それらを現代に生かす今に生きる哲学を学習することにも力を入れています。
哲学というと難しそうと敬遠されることもありますが、この時代だからこそ哲学を学びたいと思う受験生はぜひ東洋大学を検討してみましょう。
日本大学と東洋大学がおすすめな人は?
日本大学がおすすめな人
日本大学は日本で一番学生数の多い大学ですが、学部ごとにキャンパスが分かれており、1つの大きなキャンパスは持っていません。
これにより、1つひとつのキャンパスに在籍する学生数は比較的小規模になるため、落ち着いて学問に取り組むことができるでしょう。
多くの学生と交流できることは多くの学生にとって魅力的ではありますが、コミュニティを広げるのが苦手で、じっくり狭くコミュニティを深めたい学生にとっては日本大学はおすすめです。
日本大学の中で最も多い学生数を擁する理工学部でさえ8,750人、東洋大学の白山メインキャンパスは20,000人を超える大型キャンパスとなっています。
また、日本大学は学生数が非常に多いため、当然のことながら卒業生も多くなり、これまでの卒業生の数は118万人と日本の大学の中で最大となります。
大学の同窓生は不思議な親近感を持たれることも多く、これらの繋がりを学閥と呼ぶこともあります。
社会に出た際に会社内に大学の先輩がいることや、取引先やお客さんの中に大学の友人がいる場合もあり、これは大きなアドバンテージになるでしょう。
また、前述の通り日本大学は法学部や理工学部に強い実績がある大学のため、法学や理工学を専攻する場合は東洋大学よりも日本大学がおすすめであると言えます。
一点注意が必要な点は、日本大学には理工学部と別に工学部が存在しており、この両学部が一般の受験生にとって紛らわしい点が挙げられます。
理工学部の偏差値に比べて工学部の偏差値が随分低いため工学部を志望する受験生が若干存在しますが、日本大学工学部は福島県に所在しています。
工学部に志望する学問領域がある場合は問題ありませんが、関東圏からの通学を検討している場合は下宿等が必要になるため注意が必要です。
日本大学がおすすめではない人
前述の内容とも重なりますが、日本大学は実学に力を入れている大学であるため、国際系を志望する受験生は東洋大学をお勧めします。
日本大学にも国際学部は存在しますが、同等の学力帯であればスーパーグローバル大学に指定されている東洋大学の方が環境が整っているため、日本大学を積極的に選択する理由はないでしょう。
また、これは関係者でなければ過度に気にしすぎる必要はありませんが、日本大学は近年多くの不祥事を起こしており、世間からの評判が少々下降している傾向があります。
日本大学には60,000人を超える学生が在籍しているため、十把一絡げに評価されることは決してありませんが、日本大学という名前が第一印象で少々気にされる方がいらっしゃるのも事実です。
こういったことに過敏な受験生は日本大学を避けるべきでしょう。
日本大学は日本一の学生数を抱える大学であるため意外に聞こえるかもしれませんが、日本大学は学部間の交流が少ない大学でもあります。
日本大学では基本1つの学部に対して1つのキャンパスという仕組みを取っているため、他学部のキャンパスとは物理的な距離があります。
大学入学時に学びたい領域が多くある場合や大学入学後は多くの人に出会いたい場合は日本大学は不適合である可能性が高いでしょう。
東洋大学がおすすめな人
また、日本大学と比較して東洋大学はキャンパスが少なく多くの学部が1つのキャンパスに集中する特徴があります。
東洋大学白山キャンパスに多くの学部が集中しており、白山キャンパスには20,000人を超える学生が集い、文・経済・経営・法・社会・国際・国際観光の7つの学部が設置されています。
多くの大学では他学部の授業を取ることで学びの多様性を広げられることを謳っていますが、キャンパスが物理的に離れている場合はその多様性を享受することは難しいです。
大学受験時点で学びたい学部が確定している受験生は少ないですし、大学に入った後に学びたい内容が変更になった場合は、東洋大学のように大型キャンパスを持った大学の方が圧倒的に有利となります。
日本大学は1つの学部に1つのキャンパスのため、途中で学びの方向性を変更することは厳しいでしょう。
また、こちらも前述の内容になりますが東洋大学はスーパーグローバル大学に選ばれている数少ない大学であるため、英語の習得を目指す学生にとって非常に整った環境となっています。
東洋大学ではToyo Global Leaderプログラムとして、異文化における英語運用表現能力・価値創造能力・課題解決能力の3要素の強化を目的とした課程が組まれています。
これらの習得状況に応じて、東洋大学より認定を受けることができ、所定の要件を満たすとToyo Global Leaderとして表彰されます。
こういった語学力を伸ばすプログラムはスーパーグローバル大学ならではと言えるでしょう。
東洋大学がおすすめではない人
東洋大学は近年受験者が増えている大学であり、日東駒専の中での人気はトップクラスと言えます。
しかし一方で前述の通り、従来文学部が有名であった経緯や実学系学部の人気が他大学に比べて少なかったこともあり、国際系以外の文系学部の活躍は未だあまり目立っていません。
法学を専攻したいのであれば日本大学や、経済学を専攻したいのであれば専修大学などが、同等の学力帯であればおすすめの大学と言え、実学専攻の場合は東洋大学を選ぶ積極的な理由は見つかりません。
また、日本大学の小規模キャンパスと対極の特徴となりますが、東洋大学の白山キャンパスは1つのキャンパスに20,000人以上の学生が通う大型キャンパスのため、高校在学中のような小規模なキャンパスライフを考えている人にとっては合わない環境である可能性があります。
大学在学中はコミュニティを大きく広げるチャンスではありますが、あまりに慣れない環境で大学在学中を無為に過ごしてしまう恐れがあるのであれば東洋大学を選ぶのは避けた方が良いでしょう。