・『速読英単語必修編』の使い方やレベルがわからない。
・Z会のホームページにて音声ダウンロードができるけど使った方がいい?
・『速読英単語必修編』の後に使う教材は?『速読英単語上級編』は必要?
この記事は上のような悩みを持った人に向けて書かれています。
結論としては、速読英単語必修編は高校英語の入門から大学一般受験まで幅広く使える教材です。日東駒専、成成明國獨武、GMARCH志望であれば1冊で必要語彙をカバーできます。Z会のホームページに掲載されているデータは単語の読み上げなので注意が必要となります。基本的には本書1冊で十分な語彙数が掲載されているため、早慶上智志望を除き『速読英単語上級編』は必要ありません。
速読英単語必修編の難易度と目標大学
『速読英単語必修編』はこれから大学受験の英語を勉強する方から、GMARCHレベルの難関大学を狙う人まで幅広く使うことができる教材となっています。
掲載されている英単語は2,000語を超えており、一般的な大学入試で扱われる英単語はほぼカバーしている(著者曰く94%とのことです)ため、受験の最後まで安心して使える1冊です。
GMARCHレベルまでであれば一部の学部を除き本書1冊で問題ありませんが、GMARCHの中でも国際系学部を狙う場合や、早慶上智といった際難関大学を狙う場合は本書だけでは心許ない点もあるため、本書の完成次第より高難易度の教材を使うと良いでしょう。
今回、基礎から応用までを扱う教材であるのにもかかわらず、大東亜帝国から日東駒専レベルを対象から外したのは、速読英単語が頻出語順で作られていないためです。
大学受験は目指す学力と現状の学力に応じて学習する範囲を限定することが効率的ですが、頻出語順で作られていない本書はどの学力帯の受験生であっても1冊完遂しないと効果がありません。
本書が良い教材であることは言うまでもありませんが、ある一定の英語力があれば受験に足る場合は本書は優先的に扱う教材とはいえないでしょう。
速読英単語必修編はどのような教材なのか?
・大学入試で扱われている英単語を94%カバーしており、1冊で十分な語彙力を身につけることができる。
・英語長文の中で英単語を覚えるスタイルをとっており、良い面で速読力も鍛えられるが、悪い面では長文が読めない受験生にとっては非効率的な単語帳である。
前述の通り、『速読英単語必修編』は本書1冊で概ね大学入試に必要な語彙を獲得できる優れた単語帳です。
早慶上智やGMARCHの国際学部を狙う場合を除き、本書をやり込むことで十分に力をつけることが可能となっています。
本書の最も際立った特徴として、英語長文の中で英単語を学ぶという点があります。
掲載されている英語長文も教科書に載っているような一見興味を持ちにくいないようではなく、身近な生き物や人間の身体、小説などの内容から引用したものも多く、受験生にとっても興味を持ちやすい内容になっています。
英語長文の長さに関しては概ね100語から200語程度の内容が多く、ちょっとした時間で読み切れるボリュームなのでちょっとした時間にも学習することが可能ですね。
こういった長文読解方の単語帳の先駆けとなったのが『速読英単語必修編』であり、このスタイルの単語帳の王道として多くの受験生の評価を得ています。
ただし、前述の内容でもありますが、この英語長文の中で英単語を学ぶという特徴は一長一短の性質を持っており、ある程度英語が得意であれば本書の良さを引き出して使うことができますが、ここから初めて高校英語に手をつける場合は本書の良さを生かせない可能性が高いです。
本書は『英単語ターゲット1900』や『システム英単語』などの頻出語順で作られた英単語帳と異なり、掲載されている英語長文に使用された英単語を順に並べるスタイルをとっています。
よって、大学入試に必要な基本的な語彙が書籍後半に掲載されていることも多々あり、頑張って前から学習しても最後まで学習しないと効果を実感できないこともありますので注意です。
速読英単語必修編の効率的な使用法とは?
・英単語の学習から行うのではなく、英語長文の中で自然に英単語を体得する。
・日本語読みの正しい和訳を作るのではなく、前から英語を理解できるように読解する。
・別売りの音声データを用いて、音声に合わせたシャドーイングを行う。
本書の効率的な使用法は当然のことながら英文を読む中で単語を覚えるということです。
大学受験における英語の入試では、一問一答のような英語の試験はほとんど出ず、英語長文の中で自然な意味を掴むことが大切になります。
特に難易度が高い大学では英単語の意味を知っていることが前提となり、英語というよりむしろ国語に近い論理的読解力を求められることも少なくありません。
そういった入試環境の中では単語の一義的な意味(1つの単語に対して1つの意味)だけを知っている状態では単語学習が十分だと言えず、文脈の中で即座に正確に意味を理解する多面的な語彙力が必要となります。
例えば、ここでは一義的な単語の意味を覚えている場合と、多面的な単語の意味を覚えている場合で訳出の自然さに差が出る例を考えてみます。
I’m not talking about the kind of elaborate dinners Americans often associate with the French.
(アメリカ人がよくフランス人と結びつけて考えるような手の込んだ種類の食事のことを、私は話しているのではない。)
単語の意味のみを徹底的に覚えると上記のような文章の訳出が少々不恰好になってしまうことがあります。
多くの辞書においてelaborateは「複雑な」と表現されますが、ここでは「手の込んだ」と訳す形となっています。
この文章はあくまで抜粋ですが、「複雑な」より「手の込んだ」の方が自然な訳になるというのは文章中の前後より読み取るしかありません。
「複雑な種類の食事」よりも「手の込んだ種類の食事」の方が正しいフランスの料理の特徴を表しており、ニュアンスとしてもニュートラルに感じますね。
こういった単語力だけでなく、文章中で使われる生きた単語を学ぶことを日々の勉強の中で意識することで、実際に英語長文問題を演習する際に力を発揮します。
これは速読英単語以外ではできない唯一無二と言ってもよい使い方と言えます。
ちなみに、速読英単語必修編の音源がZ会公式HPよりダウンロード可能となっていますが、こちらの音源では単語の読み上げが行われるだけのため、書店等で長文用の読み上げ音源を購入することをおすすめします。
単語の読み上げでは『速読英単語必修編』の特徴である英語長文の中で語彙を獲得するという本来の目的は達成できないため注意が必要です。
速読英単語必修編のおすすめできる人は?
意外かもしれませんが、速読英単語シリーズは2冊目の単語帳として非常に有用な一面を持っています。
以前紹介した『英単語ターゲット1900』のような頻出度順であったり、一語一義の単語帳で単語を学んだ上で本書に取り組むことで、文章の中で単語が使われるとどのように表現されるのかを学ぶことができます。
単語はあくまでもパーツに過ぎないのでそれだけを覚えて使ってみてもチグハグな文章になってしまうことが多いです。
また、速読英単語シリーズにはCDが別売りで用意されており、これらを用いることでリスニングの練習につながることや、ネイティブスピードで読み慣れを行うことで速読力も向上します。
また、前述した内容にもなりますが、大学受験はただ知識の量を問うものではなく、その知識の使い方や背景などを横断的に理解していることが大切になります。
速読英単語シリーズは単語帳というより読み物に近い内容になっており、社会・歴史・人間・言語・文化・教育・科学・医療といった様々なテーマから文章が出題され、読んでいた素直に興味を持てるものも多くなっています。
「英単語はいくつあるか」、「外国語を学ぶ際に必要なもの」など英語に関わるものも多いので、英語が苦手な人もぜひ興味を持って取り組んでもらえたらと思います。
速読英単語必修編のおすすめできない人は?
こちらも前述の内容になりますが、速読英単語シリーズは文章中で出た英単語を学ぶというスタイルをとっているため、単語の登場順はランダムになってしまうという弊害があります。
英語の勉強を始める人にとってできるだけ使用頻度が高い英単語を早いうちから学ぶことは大変な作業であるため、自身が学習した内容が役に立った等の学習成果やモチベーションはとても大切になります。
例えば、motion「動作」は1888番目、excellent「優れた」は1897番目、のように非常に使用頻度の高い基本単語でさえ、最後の文章に配置されています。
これでは短期的に成果を出すことは難しいため、1冊目ではなく2冊目以降で使用することをおすすめします。
最後まで使い切らないと成果を実感できない単語帳であることが『速読英単語必修編』のデメリットでもありますね。
速読英単語必修編の後に進むべき教材を志望校別に紹介
前述の通り、速読英単語は最後まで学習しないと基礎的な単語を学習できないため大東亜帝国レベルや日東駒専レベルの受験生にとって相性が悪い教材です。
また、英語の入試問題の難易度を鑑みても2冊目の単語帳である『速読英単語必修編』に手を出すよりはその他の英文法や英語長文に力を入れる方が効率的であると言えます。
万が一、学校等で配られた英単語帳が『速読英単語必修編』である場合は『英単語ターゲット1900』、『システム英単語』等の頻出度順の単語帳の利用も検討しましょう。
大学受験は限られた時間の中の戦いであるため効率性を重視するのは大切になります。
成成明國獨武レベル(SS60程度)が志望校
成成明國獨武レベルを受験する場合、本書の後に利用すべき英単語帳はありません。
求められる語彙力は決して高くはないですが、制限時間内で読む英語量が大東亜帝国レベルや日東駒専レベルよりも多くなる傾向があり、基本的な英単語を素早く理解読解していくことが大切になる入試となります。
『英単語ターゲット1900』や『システム英単語』等の頻出語順で作られた単語帳を利用したのち、『速読英単語必修編』を用いて長文の中で英単語を理解することに慣れることが大切です。
本書ののちは『英語長文ハイパートレーニング』等の英語長文の問題集を用い、読解した内容を問題として解けるようトレーニングを行いましょう。
GMARCHレベル(SS65程度)が志望校
GMARCHレベルを受験する場合、余裕があればさらに上の単語帳に挑戦しましょう。
求められる語彙力はGMARCHレベルではいえそこまで高くはなりませんが、目指す学部によっては高難易度の英単語が出題される場合もあり、分厚い語彙力を持っておくことでより安定して得点できるようになるでしょう。
入試問題として難しくなると言うことはただ単に難しい単語が出題されるのではなく、英語長文を読むにあたって前提となる知識や背景を知らないと読解が難しくなると言うことでもあります。
しかし、前提となる知識や背景を闇雲に学習しても効率が悪くなるため、『話題別英単語リンガメタリカ』等のより知識面を重視した単語帳を用いることで知識を増強しましょう。
『話題別英単語リンガメタリカ』は『速読英単語必修編』と同じくZ会から出版されている教材であり、レイアウト等も似通っているので非常に使いやすいかと思います。
早慶上智レベル(SS70程度)が志望校
早慶上智レベルを受験する場合、GMARCHレベルで紹介した『話題別英単語リンガメタリカ』をできる限り利用しましょう。
GMARCHレベルでは余裕があればと前置きをしましたが、早慶上智レベルでは非常に難易度が高い英文を短い時間で読解しなければならない場合も多く、背景知識等を知っておくことは入試を有利に進める上で大切になります。
経済、医療、技術、文化等の専門的な英文が出題されることも非常に多く、その場その場で英文の意味や伝えたい内容を読み取ることも大切ですが、その背景となる知識をつけておきたいですね。
また、早慶上智を本気で志望している受験生はその他の科目も高い学力を持っていることも多く、それに付随して背景知識も多くなる傾向があります。
ライバルたちに差をつけられないようにするためにもできる限り『話題別英単語リンガメタリカ』を利用することをお勧めします。