マイナビの「大東亜以下」の学歴フィルターメールに対して思うこと。大学受験の指導をする立場から考えると。

こんにちは、ぼうです。

就活支援企業マイナビから「大東亜以下(おそらく大東文化、東海、亜細亜、帝京、国士舘をさす大東亜帝国の総称)」というタイトルが入ったメッセージが誤って就活生に送られてしまったというニュースが、就活生を中心に広まっています。

大学生にとって企業からおおっぴらに学歴フィルターがあることが公表されてしまったようなことで、大変ショッキングなニュースでもあります。

現在マイナビは事実関係の調査をされているとのことですので、ニュースに関しては続報を待ってみましょう。

今日の学部では珍しく現代ニュースに対する意見や見解を述べることで、大学受験生や受験生を子に持つ親御さん、そしてこれから就職活動をする大学生にとって少しでも役に立つような記事になったらと思い書かせていただきます。

目次

マイナビの「大東亜以下」って何?

[blogcard url=”https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2112/06/news159.html”]

詳しい内容は上記URLから確認していただくとわかりますが、就活生に対して「大東亜以下」というメールタイトルでメッセージが送られてしまったというざっくり内容です。

 

前述しましたが、大東亜とは大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学をさす大東亜帝国の総称であり、関東圏では比較的入学難易度が易しめの大学グループと考えられることが多いです。

一般的には大学名で募集を限定することはほとんどの企業によって行われておらず、応募条件も大学卒業見込みとなっており、難易度が高い大学の学生を取りたいという企業側の意図は表向きには表現されていません。

しかし、今回のメールによって、大東亜以下と限定しているということは、大東亜以上、またはそれ以上のような大学名でのフィルタリングが企業によって行われているのでは?ということでTwitterを中心に話題となっております。

今回、募集企業として社名が上がってしまった東急ストアとしては言いたいこともたくさんあるでしょうが、マイナビとしてはなかなか大きな痛手となってしまったことは間違い無いでしょう。

学歴フィルターは存在する?

今回の出来事によって、マイナビは強く批判されていますが、そもそも学歴フィルターというのはマイナビ独自で持っている基準ではありません。

数十年前から学歴によるフィルタリングは水面下で行われており、大人の誰しもが気づいてはいるが就職活動の中ではタブー視されていたものでもあります。

日本では大学入試までは高校の名前による書類選考等はなく、基本的にどの高校であっても大学を受験することはできますよね。

しかし、就職活動においては企業は大学の名前である程度フィルタリングを行い、特定の難易度以下の大学の学生は適性検査や面接すら受けさせてもらえないという実情があります。

 

以下は東洋経済オンライン(引用:「有名企業への就職に強い大学」ランキング200)からの引用になりますが、有名企業への就職率を調査するとやはり早慶上理、関関同立、MARCHなどの有名とされる大学の卒業生の活躍が目立ちます。

MARCHから大東亜帝国までを並べて比較してみましたが、差は歴然と言えるでしょう。

大東文化、亜細亜、帝京、国士舘はアンケートが100件以上集まらなかったため、グラフとしては表現できませんが、おそらく東海大学と似たり寄ったりという結果では無いでしょうか。

ただ、東海大学は大東亜帝国の中でも唯一理系が強みを持つ大学なので、文系に関してはさらに厳しい環境と言わざるを得ません。

学歴フィルターはなぜ存在するのか?

実際の数字を見ることで学歴フィルターが実際には存在していることがわかりました。

しかし、学歴フィルターはなぜ存在するのでしょうか、これは企業による差別では無いのでしょうか?

この答えは単に効率性にあると僕は考えます。

企業の採用活動には非常にお金がかかり、株式会社リクルートが発表している就職白書(引用:就職みらい研究所『就職白書2019』)では一人当たりの採用に72.6万円のコストがかかっているとのことです。

企業はたった一人の大学生を採用するわけではありませんので、採用活動には数千万規模のお金がかかっていると言って良いでしょう。

採用活動は面接だけを行うのではなく、説明会を都度行い、募集サイトに募集要項を掲示し、さらに広告なども積極的に行なっていますね。

こういった非常にコストがかかる採用行為において、できるだけ効率的に優秀な人材を採用したいという企業の考え方は営利団体として非常に真っ当と言えるでしょう。

 

ではなぜ学歴フィルターを行うことで効率的な採用活動が可能になるのでしょうか?

日本の企業は潜在能力採用というスタイルをとっている企業が多いため、採用活動では大学生の潜んでいる能力を確認しています。

これは大学卒業時には実務能力はないが、このような優秀な能力(コンピテンシー)を持っている学生であれば将来的に高い実務能力が付くだろうという推測に基づいています。

そして、この能力とは、複雑な課題を解決する力、多くの情報を処理し吸収展開する力、多様な価値観の中で働く力の3つに分けることができます。

大学入試という関門を乗り越えるためには難問に取り組み諦めずに解決する力や、大量の情報を処理する能力が問われますが、難関大学の学生はこれらの能力があることがある一定程度で担保されていると言えますね。

コミュニケーション能力に関しては大学名のみでは計れない指標ではありますが、これらは学生の採用活動の中で確認していくことが可能なため、大きな問題にはならないはずです。

企業にとってはこの選別を効率的に行うために学歴フィルターを行なっていると考えて良いでしょう。

 

ちなみに欧米では顕在能力採用をとる企業が多く、学生時代からインターン等で実務能力を示す必要があります。

こう考えると学生の間は勉学のみに特化できる日本の学生は幸せでもあるかもしれません…。

学歴フィルターはなくならない?

学歴フィルターが企業にとって効率的な選考方法であることは説明しました。

採用する側になってみると非常に合理的な仕組みであることが理解できます。

もちろん有名な大学の学生の中にも低い評価になってしまう学生もいれば、今回で言うと大東亜帝国より難易度が易しめの大学の中にも非常に高い評価を得る学生もいるでしょう。

しかし、そういったレアケースを想定して選考活動を行うとキリがありませんし、コストもどんどんと増えてしまいますから、ここらは想定せず切り捨てられていると考えるのが妥当です。

このように考えると企業にとって非常に効率的な学歴フィルターは表面的にはないとしていても、裏側では必ず意識されることと考えて良いでしょう。

それでも有名企業に就職したい!どうすれば?

就職活動に根付く学歴フィルターという壁について説明しましたが、多くの学生にとっては学歴フィルターは耳が痛い問題だと思います。

有名企業は給与が高いことだけでなく、福利厚生が充実していることでも知られているため、多くの学生にとって志望企業に上がりやすいです。

そしてこういった企業は当然ながら人気が集まるため、入社における競争も厳しくなります。

こういった企業に入社するためにはどのような今後を過ごすべきなのでしょうか?

ここではステージ別に過ごし方を紹介していきますね。

①これから大学受験を控える高校生

「まだまだ就職活動なんてずっと先だから大丈夫!」と思っている高校生は要注意です。

大学名で学歴フィルターがかかってしまうということは、大学に入る前から企業への就職競争は始まっていると考えましょう。

大学選びに明確な基準を持てずにどこの大学でも良いかと考えている高校生は、できるだけ早くから受験に向けた勉強を開始することをおすすめします。

志望校が決まっていないから大学受験に身が入らないとのんびり過ごしていると、あっという間に時が過ぎてしまい、志望校が決まらないではなく志望校が選べないという状態になってしまいます。

どの大学でも選べる学力を身につけた上で、行きたい大学を選べるような受験生になってほしいと思います。

勉強の仕方がわからない方は、過去に記事を書いているのでぜひ参考にしてくださいね。

[blogcard url=”https://manabu.biz/hensachi_from30to70_vocabulary/”]

しかし、専門性のある職業に就きたいと考えていて、大学での勉強が直接的に結びつかない進路を選ぼうとしているのであれば無理して難関大学に行く必要はありません。

就職というのはあくまで人生の一ステージであり、有名企業に入れたからといって幸せになるわけでもありません。

自分の夢がある人はそれを大切にチャレンジを続けることも大切です。

②大学の名前に自信がない大学生

今回のマイナビメールを受けたような大学生や、これからの就職活動に不安を抱える大学生はこれからどのように過ごすと良いのでしょうか?

多くの大学生の就活相談に乗ってきた立場から言わせていただくと、他の学生たちを圧倒するほど何かに打ち込むことが大切だと思います。

「え、これだけ?」と思うかもしれませんが、何か一つのことに打ち込むことは簡単ではなく多くの学生はどれも中途半端に終わってしまうことが大部分です。

そして打ち込むということはサークルの幹事長やアルバイトのリーダーのような肩書きにこだわるのではなく、それらの活動からどのようなことを学んだかを大切にするということです。

企業の選考官からすると大学生のサークル幹事長なんてお遊び程度に見えているので、幹事長だったから凄いなんて思ってもらえるはずもありません。

サークルの幹事長を本気で取り組んでいたら、サークル内の方向性の不一致やサークルでの活動の中で苦労したことがたくさんできるはずです。

そういった活動の中での学びを言語化し、
「私ははこういった経験をしてきた、僕はこのように成長してきた、なので御社でも活躍できます!」という自信を持って話せる取り組みを作ることが大切です。

学歴フィルターを突破してくるような学生であってもこのような経験を自信を持って話せる学生は少なく、書類選考というフィルターを突破しさえすれば十分戦えるでしょう。

しかし一方で、学歴フィルターが厳しい企業だと勝負するフィールド自体に立たせてもらえない可能性があるため、そういった企業は縁がなかったと考え、他の企業をチャレンジするしかありません。

諦めるには勇気が必要かもしれませんが、学歴だけで判断されるような企業に運良く入ったとしても、入社後にかなり苦労をしてしまうことは必至ですし、貴方の努力が正当に認めてもらえない可能性すらあります。

日本に企業は星の数ほどあるので、しっかり自分に合う企業を選びましょう!

 

また、すこし話がそれますが、どうしても諦めきれない大学がある場合は再度大学を受験するという方法もあります。

大学の名前が人生を決めることはもちろんありませんが、大学の名前に自信を持てることによって人生を充実させられるのであればチャレンジする意義はあると僕は思います。

浪人か現役かを考える記事を過去に書いていますので、よければ参考にしてくださいね。

[blogcard url=”https://manabu.biz/soukei-march/”]

③学歴フィルターがかからないであろう大学生

最後は学歴フィルターを突破できるであろう難関大学に在学中の大学生に向けた内容になります。

「学歴フィルターを突破できるのだから何も心配いらないのでは?」と考えている大学生は非常に危険な状態と言わざるを得ません。

このステージにいる大学生が見落としがちなのは、競争するライバルの強さと自分自身のプライドの高さです。

学歴フィルターとはあくまで第一関門のため、フィルターを突破したからといって内定を獲得できるわけではないことは当たり前ですよね。

そして、当然ではありますが学歴フィルターを突破してきた学生たちの中で戦うということは、すでに自分自身の大学名は何の武器にもならないということです。

つまりここからは完全なる自分自身の実力のみで戦うことが必要になるということです。

 

次にプライドの高さについて考えてみます。

サークルやゼミの友人たちが有名難関企業の内定を次々と獲得する中で、自分は企業から内定がもらえないという状況を想像すると中々不安になりますよね。

さらに内定がもらえたとしても友人たちの企業に比べて著しく待遇が良くないという状況になってしまったとしたら、自分自身の就職活動に納得ができますか?

ここに納得ができず就職浪人をする大学生や、就職活動での失敗を引きずってしまう学生も多くいるのが難関大学の学生たちです。

こういったネガティブな状況に陥らないためにも早くから努力をすることが大切ですね。

行なって欲しい努力としては、②の大学生に向けた内容と概ね同じです。

大学在学中に自分が誰よりも打ち込んだ何かを作り、胸を張って自己アピールできるような未来を目指しましょうね。

まとめ

今回は最近話題になっているマイナビの大東亜以下メールに関する内容に関して、僕としての私見を書かせていただきました。

今回、学歴フィルターを公然と表現してしまったマイナビには大きな落ち度があったことは否めませんが、学歴フィルター自体は企業が効率よく採用活動を行うために必要であるという観点を僕自身は持っています。

ですが、学歴フィルターがあるからといって大学生は希望の企業への就職を諦める必要もありませんし、大学名というビハインドも自身の努力次第で乗り越えることができると思います。

限りある大学生活を有意義に過ごし、自身の希望の内定を取れるよう頑張ってくださいね!

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