・国際学部への進学を考えているがどのようなことを学ぶのか知りたい。
・英語に苦手意識がある場合は進学を見合わせたほうが良い?
・国際学部がおすすめの大学があれば知りたい。
結論としては、国際学部は英語を手段として用いながら、国際的な文化や政治経済などを学び、グローバルに活躍できる人材を育成する学部です。英語を学ぶ学部というよりは英語を用いて国際問題を学ぶ学部であるため、英語が苦手な場合は在学中でかなり苦労することが想定されます。国際系の学部は多くの大学に設置されていますが、桜美林大学、東洋大学、法政大学等がおすすめです。
国際学部の特徴と注意すべき事項
国際学部の特徴
国際学部とは、英語を学びのツールとして、日本国内に止まらない政治・法律・経済・文化・歴史などを横断的に学ぶリベラルアーツ的な性質を持った学部になります。
多くの大学が国際を名に冠した学部を持っており見分けづらいという点が注意となりますが、国際〇〇学部というジャンルの大学は概ね英語を用いて国際的なリベラルアーツを学ぶ学部と判断して問題ありません。
文学部や外国語学部との違いについて気になる方も多いと思いますが、文学部は各国の文化や思想を学ぶ中で語学の習得と同時に語学を取り巻く文化的背景を学ぶ領域で、外国語学部はReading・Writing・Listening・Speakingの4技能を徹底的に鍛え上げ外言語を自由に扱うことを目的とする学部です。
対して、国際学部は手段として語学を学ぶことがあっても言語習得を目的とする学部ではないため、傍目から見ると似たように見えるかもしれませんが学部が向かう方向性は全く異なるため注意が必要です。
また、資格に関しても外国語学部と同じようなものがメインになります。
語学をメインに学ぶ学部でないにせよ、ある程度の語学力は必要です。
留学もすることを考えると、TOEICやTOEFLについてはしっかりスコアを伸ばしておくことが望ましいでしょう。
国際学部に進む上で注意すべき事項
昨今、グローバル化は特別なことではなく一般的なことなり、英語を学ぶ大切さはもちろんですが英語を扱えることの大切さが叫ばれるようになりました。
そのような社会の中、英語を学ぶことに注力したいという学生は非常に多く、英語を学ぶことができる学部の人気は非常に高まりつつあります。
大学側もそういった学生のニーズに合わせて文学部・外国語学部・国際系学部などの多種多様な学部を用意していますが、その中でも国際系の学部を選ぶ際は注意が必要になります。
国際系の学部の中には全ての授業を英語で行うことで国内に居ながらも英語漬けの生活ができることをメリットとしてあげている大学も多く、授業はもちろんですがレポートやディベートなども含めて英語で行う場合もあり、英語を学ぶというよりは母語レベルで英語ができることを前提としていることもある点に注意が必要です。
外国語を学びたいが、大学入学時点でアカデミックな内容を読み書き会話ができないまたは自信がない学生は、無理をして国際学部に進学するのではなく、文学部英文学科や外国語学部英語学科等を選ぶほうがより良い選択と言えます。
また、国際学部の特徴として多くの大学で4年間の間に一定程度の留学経験を卒業要件としていることが多く、大学在学中の成績やTOEICやTOEFLなどのスコアを基準にして海外の大学を選び留学することとなります。
海外の大学は日本の大学以上に大学内の成績(GPA)を参考にすることが多く、大学在学後も継続的な勉強が必要になる点にも注意が必要です。
また、海外の大学へ留学することは想定以上に費用がかかることにも注意が必要となります。
国際学部の場合、大学と連携している海外の大学に留学生として参加する場合、大学の学費が免除される代わりに海外の大学に留学するための費用がかかり、参加するプログラムによっても異なりますが概ね100万円から300万円程度かかります。
ここでは留学費用の一例として上智大学のQ&Aを紹介します。
国際学部への進学を考える際は自身の判断のみならず、ご両親などの支援が必要になるためその点も注意が必要です。
交換留学では留学先の大学に授業料を納入する必要はありません(上智大学にのみ納入します)。ただし、授業料以外の諸経費や、留学先大学指定の保険は個人負担が必要となる場合があります。一般留学または休学による留学では、上智大学と留学先大学の双方に学費や在籍にかかる費用を納入する必要があります。
留学先への渡航費や現地での生活費は本人負担となります。1年間留学する場合、必要経費として150~300万円程が見込まれますが、この金額は渡航先、為替レート、宿舎、休暇の過ごし方などによっても大きく変わってくるため、あくまで目安として参考にしてください。
海外留学する際の費用と奨学金-上智大学
国際学部の卒業後の進路
国際学部に限らず、文系の就職の場合は基本的に学部学科に縛られることはなく、特定の資格が必要な職種を除くどのような業界にも就職をすることができます。
ただ、文系が多くの方向性に就職の道があるといっても自身の能力に合わせた選択や、在学中に環境によって醸成された業界への興味も影響し、国際学部の学生の多くは海外をフィールドに働く総合商社や外資系企業などの人気が高いです。
ちなみに、国際系学部の中で屈指の入試難易度と偏差値を誇る上智大学国際教養学部の就職先としては、英語を社内公用語に設定している楽天株式会社や、外資系コンサルティング会社として知られるアクセンチュア・PwC・デロイトトーマツなどが名を連ねており、大学卒業後に在学中に鍛えた英語力を生かした就職先が人気となっています。
もちろんこれらの企業は就職するためのハードルも高いため、大学在学中も弛まぬ努力が必要になりますが、卒業後にも自分の得意を生かして働くことができる点は魅力的に感じます。
一点注意としては、国際系学部への進学をする受験生の多くが志望する国連職員がありますが、こうした国際機関への就職をする場合は入学前に注意が必要になります。
国際機関によって名称はそれぞれですが、ここでは国連事務局のYPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)を例に挙げます。
国連事務局YPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)は国連事務局が若手職員を採用するプログラムであり、国連で働きたいと考える若手スタッフにとって第一歩目となるステップです。
本プログラムでは応募の条件として、英語またはフランス語によって職務を遂行できることと試験年度において32歳以下であることに加えて、少なくとも学士号に相当する大学の学位を取得していること必要になります。
少なくとも学士号であるため、応募者の中には修士(大学院卒)を卒業しているものも居り、学部卒業(学士)では履歴書上強いメリットを打ち出すことはできません。
本プログラムは学士募集もありますが、こういった国際機関の多くは修士以上の学歴を求めることも多いため、こういった進路を検討している場合は大学4年間に加えて大学院2年間の学生生活とそれに係る費用等も検討した上で進学が必要でしょう。
貴方におすすめの学びとは?
国際学部がおすすめな人
国際学部がおすすめな人は英語が現時点で得意であり、将来にわたって英語を活用したい人です。
前述の内容でもありますが、国際学部は英語の習得を目的とした学部ではなく、英語を活用して国際舞台で活躍できる教養を身につけることにあります。
現時点で英語が苦手であり、大学在学中に英語を得意にしたいという目標を持つことは非常に素晴らしいことですが、そういった受験生は国際学部よりも文学部や外国語学部を選ぶほうがミスマッチを起こしにくいと考えます。
また、国際学部の多くは教養科目の充実を謳っているため、他学部の学生のように専門性を身につけようと考えて進学するとミスマッチを起こす可能性があるため、あくまで多くの学問を横断的に身につけたいと考える受験生が進学すべき学部と言えます。
最後に、国際学部に進学する受験生の多くは外国語への興味はもちろんですが、国際問題に対する意識や文化的多様性に対する受容力が強い傾向があり、こういった傾向が海外を意識するきっかけを作ることや、海外への意識をより強める働きをするため、大学卒業後の進路もその他の学部と若干毛色が異なる傾向があります。
将来グローバルな舞台で働きたいと考える受験生にとってこういった刺激は非常に有意義であるため、そういった目標がある受験生は国際学部を是非検討しましょう。
偏差値40~50程度の受験生
偏差値40~50程度の受験生におすすめしたい大学は桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群です。
桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群は他文化社会の中で言語域の違う他者とスムーズにコミュニケーションを取ることができる言語力と、学内で身につける高い専門性の両立を目指すことで、コミュニティの中で必要不可欠な人材を育成することを目標としています。
グローバル・コミュニケーション学群の学生は4つの言語トラック(日本語を含むので実際は3つ)と3つの専修を掛け合わせることで自身の興味にあった内容を学ぶことができます。
英語トラック
中国語トラック
トリリンガルトラック
✖️
パブリックリレーションズ専修
言語探究専修
文化共創専修
それぞれのトラックでは1年次よりそれぞれの言語を徹底的に学習することに力を入れることで、2年次からの授業を外国語にて行うことができる状態を目指します。
英語トラックや中国語トラックでは1日に2コマから3コマの外国語の授業を行うことで言語のシャワーを浴びることを目指します。
専修分野ではパブリックリレーションズ・言語探究・文化共創の3つに分かれており、それぞれ強めていく領域が異なります。
パブリックリレーションズ専修ではパブリックリレーションズ理論に基づいて、対人や対組織におけるコミュニケーションのプロフェッショナルを目指します。
言語探究専修では言語を取り巻く文化や社会などの理解を務めることに加えて、言語運用能力のさらなる充実を図り、通訳や翻訳など言語に関わる人材の育成を目指します。
最後に、文化共創専修では自らが多分か共生社会の担い手となるように自分化や他文化への理解を徹底的に深めると同時に、ボランティア活動などによって社会参加を経験することで、国際社会で活躍する人材を育成します。
語学が苦手な人にとって国際学部は苦労が多い環境ではありますが、その中でも桜美林大学は入学後の1年間は学校が川からの語学的なサポートも多いため、比較的入学後のハードルが弾く大学と言えるでしょう。
偏差値50~60程度の受験生
偏差値50~60程度の受験生におすすめしたい大学は東洋大学国際学部です。
東洋大学は全国の難関国公立大学のうちでもグローバル教育を行なっている大学にしか認定されていないスーパーグローバル大学(SGU)の1つであり、日東駒専レベルの中では唯一選出されている大学でもあります。
スーパーグローバル大学創成支援には2つのタイプがあり、タイプA(トップ型)が世界大学ランキングトップ100を目指す力のある大学を指し、タイプB(グローバル化牽引型)が我が国の社会のグローバル化を牽引する大学を指します。
東洋大学はそのうちタイプB(グローバル牽引型)に含まれた数少ない大学であり、その他の大学の多くは上智大学やGMARCHをはじめとした難関大学ばかりとなります。
東洋大学は東洋グローバルリーダー育成プログラム(TGL)を持ってグローバルリーダーを育成することに力を入れており、グローバルリーダーに必要な3つの要素として、「異文化環境における英語運用表現能力」「文化的な価値創造能力」「異文化環境における課題解決能力」の強化を目的としています。
また、これらのプログラムの習熟度の目安として、Gold・Silver・Bronzeといったレベルを明確に定めることでグローバルリーダー育成の体系化も図っています。
長期短期の留学を始め、海外でのインターンシップやボランティアなどに積極取り組む環境を作ることで、学生が語学力を高める環境はもちろんですが、異文化とぶつかり合いながら成長する機会を多く作ろうという意思を感じられます。
偏差値60~70程度の受験生
偏差値60~70程度の受験生におすすめしたい法政大学グローバル教養学部です。
法政大学グローバル教養学部はこれまでの桜美林大学や東洋大学とは一線を画す大学で、在学中の全ての授業を英語で受けるという完全な国内留学型の学部になります。
グローバル教養学部ではリベラルアーツ教育を重視しており、文化・歴史・宗教などの人文科学系から、経済や法律関係に関する実学系まですべての授業を英語で展開することで、国際的な舞台で活躍する人材としての真の横断的知識を身につけさせることを目標としています。
環境としては、少人数教育と多彩なバックグラウンドを持った講師陣や学生たちにも特徴があり、他大学ではおよそ受けることができない程充実しています。
少人数教育では法政大学というマンモス大学にある学部にもかかわらず、ほぼ全ての授業が20人以下の少ない規模で行われることで、一人ひとりに寄り添った教育をすることで学生の成長をサポートしています。
加えて、世界約50カ国から学びに来ている学生や講師人たちの多彩なバックグラウンドは日本内で日本人とコミュニケーションを得ている間は得られない多様性を感じることができ、それらの文化的差異により学生たちの価値観を揺さぶる機会も多く持っています。
こういった環境は国立大学や私立大学を含めてもほとんど無いと言っても過言ではなく、国内にいながらも外国で学ぶレベルの濃度で学びたい受験生はぜひ1つの候補としてみてはいかがでしょうか。