・文学部は入試難易度が高いって本当?
・文学部は就職活動で不利?
・文学部で勉強する内容が分からない。
この記事は、そんな疑問を持つ方に向けて書いています。
結論としては、文学部は他の文系学部と比べて必要な科目が増えるため、勉強の範囲が広くなる傾向があります。文学部であるからといって就職活動において不利になることはないので安心しましょう。文学部では文学だけでなく、言語、心理、歴史等も学ぶため、その領域は非常に多岐にわたります。
文学部の特徴と注意すべき事項
文学部の特徴
文学部というと文学を扱うというイメージを持たれがちですが、実は文学関係だけを扱っているわけではありません。
文学や人文学の学問としての目的は人間を理解することにあり、人間が生み出した文化や、これまでどうやって人類は生きてきたのか、人間そのものをあり方を考える、これが文学部や人文学の特徴です。
そして、文学部にはこの人間を理解するという目的のために言語、思想、歴史、行動の4つの学問領域が存在します。
これらについて、4つの項目に分けて詳細を解説します。
言語系で学ぶ内容
言語系の学科で学ぶ内容は最もわかりやすい文学部の研究内容でしょう。
言語系で学ぶことができるのは、国文学・英文学・フランス文学・ドイツ文学・中国文学など言葉の通り言語学がメインとなります。
各言語で記述された文学作品や、文の意味や構文そのものを科学したり、言葉を学ぶ領域です。
思想系で学ぶ内容
思想系は、哲学や宗教、芸術や倫理などを学ぶ領域であり、思想系で学ぶ領域は、答えのないものがほとんどです。
このような答えのないものに対してとにかく考えることが、思想系で扱う内容となります。
思想系の分野の学習を通して、非常に深い思考力を手に入れることができる反面、答えのない領域を学習するもどかしさもある学問です。
歴史系で学ぶ内容
歴史系は言葉の通り、日本史や考古学、そして世界史も東洋史と西洋史と高校の学習よりも深い部分を、そして美術史学等の様々な切り口の歴史の深い部分まで学んでいきます。
また、文学部の歴史学は高校までの学習のように、暗記をする勉強ではなく、史料批判といって、本当にその文献の内容は正しいものなのかという、歴史の正しさを自分自身で発見していくような学問です。
人類がどのように現代まで歩みを進めてきたのかを知ることで、これからの自分たちのあり方を考えることができ、歴史を学びながら未来を考える学問でもあります。
行動系で学ぶ内容
行動系は心理学や社会学、教育学や地理学などがここに当てはまり、人間の行動や考え方を学び、その法則性などを発見しようとする領域です。
近年では、この行動系で学ぶ学問は、学部として独立している傾向があり、心理学部や社会学部を設置している大学は増えています。
文学部の中でも人間の実際の行動などに着目するものなので、人気がある領域でもあり当然それに比例して難易度も高まっている学問です。
ただ、心理学を希望する受験生はその学問の中に数学が必須である領域があることに注意が必要です。
心理学は統計を用いるため、高校数学の内容までの理解は必要となります。
実際の統計計算に関してはソフトウェアが行なうためそこまで神経質になる必要はありませんが、本質的に理解をするためには数学が必要であることを意識しましょう。
文学部に進む上で注意すべき事項
文学部は就職活動に不利という話はよく耳にしますが、文学部であるという理由だけで就職活動で不利になることはないので安心しましょう。
早稲田大学キャリアセンターより引用
上記は早稲田大学の学部別の就職率になりますが、文学部の就職率は96.5%となっており、他の学部と遜色ない数字になっています。
文学部が就職活動において不利であると言われる理由は、在学中に学ぶ内容が実社会に直接関係がない点と、文学部に所属する学生の性質の2点にあります。
法学部や経済学部と異なり、文学部で学ぶ内容が実社会と隔たりがあるため、実社会における資格取得に繋がりにくいという事実があります。
法学部では法学部内で学んだ内容を生かして司法系や公務員系の試験を突破することができ、商学部でも会計系の資格取得に生きる授業が多くあります。
一方で文学部で学ぶ内容から得られる資格は企業活動に直接関係ないものも多いため、その領域を志望する文学部出身者は自分自身で学んで資格を得る必要があります。
また、法学や経済学を専攻する学生はそもそもその領域に興味がある学生が多くを占めます。
しかし、文学部に所属する学生はそういった現代的な学問より概念的な学問を好む傾向があるため、その他文系の多くの学生が志望する業界へ進みたいと考える学生が少ないという性質上の理由もあります。
これらは2つの理由に関しては各人の努力で容易に超えることができる物なので、就職活動を危惧して文学部への進学を控えようと考える必要はありませんのでご安心ください。
余談ですが、文学部は出版業界やマスコミ業界に進む卒業生も多くいるので、就職活動において企業の情報を得やすいため、そういった業界には有利な学部とも言えます。
こちらはダイヤモンドオンラインが調査した、1989年から2017年までの間にマスコミ業界に就職した学生をカウントしランキングにした物です。
このランキングを見ると早慶と東大の強さが際立っていますので、マスコミを志望する学生は上記の大学を志望校の1つに考えても良いでしょう。
貴方におすすめの学びとは?
文学部がおすすめな人
ここまで紹介してきた通り、文学部はその他の多くの学部と異なり学科ごとに学ぶ内容が多岐に渡ることが特徴として挙げられます。
文学部志望だからといって偏差値のみで大学を選ぶと、当初考えていた学びたい内容が大学内で学べない場合も有りますので、志望する大学の資料を取り寄せ慎重に検討をしましょう。
偏差値40~50程度の受験生
偏差値40~50程度の受験生で文学部を検討している場合は二松学舎大学を候補に入れてみましょう。
二松学舎大学は文学部に力を入れている大学として有名で、古くは内閣総理大臣の犬養毅や文豪の夏目漱石を輩出した大学です。
文学部の中には、国文学科・中国文学科・都市文化デザイン学科・歴史文化学科を備え、伝統的な国文学と中国文学に加えて、都市文化デザイン学という新しい学問や、歴史学という新設された領域もあります。
二松学舎大学は国漢の二松学舎として、とりわけ国語・書道・中国語の各教科を担当する教育の教員養成に努める大学として知られ、教員を目指す学生が多いことも特徴です。
偏差値50~60程度の受験生
偏差値50~60程度の大学で文学部を検討している受験生におすすめの大学は國學院大学です。
國學院大学は、国史・国文・国法を専修する研究機関としてスタートした背景があり、非常に長い歴史と伝統を持っています。
日本文学科・中国文学科・外国語文化学科・史学科・哲学科からの5つの学科で構成されているため、言語系・思想系・歴史系をカバーしている大学です。
特に国文学や史学を学びたい学生にとっては非常に伝統的な大学と言えます。
珍しい施設として学内に博物館を持つ大学であり、貴重な資料に触れながら学ぶことができる優れた環境を持っている大学です。
偏差値60~70程度の受験生
偏差値60~70程度の大学の中で文学部を志望する受験生には青山学院大学と学習院大学をおすすめします。
青山学院大学は英米文学科・フランス文学科・日本文学科・史学科・比較芸術学科という5つの学科から構成されています。
特に有名なのは英米文学科であり、英語の青山と呼ばれるのはこの学科の強さからです。
Integrated English(IE)Programという独自の学習プログラムで、確かな英語力を身につけることができ、文学部の中でも、特に英語に力を入れていきたい人におすすめの大学です。
もう1つのおすすめである学習院大学は文学部の中でも特に日本文学・哲学・史学に強みがあります。
学習院大学は優れた教授陣と少人数教育の重視という2つの柱を持っており、非常に恵まれた環境の中で人文学を専攻することができます。
日本の最高学府である東京大学の教授は東京大学の後に学習院大学に勤められることが伝統的に多いため、学習院大学では私学の中でも圧倒的に優れた環境が整えられています。
また、他のGMARCHレベルの大学と比較しても学生数が少ないため、その恵まれた環境を十分を享受することが可能です。
英文学を専攻したいのであれば青山学院大学を、国文学を専攻したいのであれば学習院大学を検討するのが良いでしょう。