・そもそも現代文の勉強は何から始めればいいかよく分からない。
・現代文なんて嫌い!苦手だし勉強したくない!
・現代文で挫折した。
この記事は上のような悩みを持った人に向けて書かれています。
結論は、今回おすすめする『田村のやさしく語る現代文』は現代文初学者や現代文が大嫌い、苦手、挫折経験がある方にとっても手に取りやすい非常に優しい参考書なのでぜひ取り組んでみて下さい。
記事の本題に入る前に「現代文ってセンスでしょ?」と考える人も少なくないため、私なりに考える、”現代文はセンスなのか?””そもそも現代文のセンスとは何?””どんな人が現代文のセンスを持っているのか?”について書いてみたいと思います。
私が今まで受験指導した子達で、現代文のセンスがある人の共通項は、”本が好き””本を沢山読んでいる””色んな事に興味がある”事などが挙げられます。
では、”現代文のセンスとは?””活字を苦に感じない(むしろ楽しい)””語彙が豊か(ワードセンスがある)””特定分野に限らず色んな知識がある””文章同士のつながりを捉えることが得意””物事の筋道を追うことが得意””インプットした内容を自分の言葉に置き換えてアウトプットすることが得意”などが挙げられます。
そして、その多くは主に過去の読書の経験に基づくものかなと思います。
現代文のセンスがある方は、みんな自分と同じくらいの本を読んでいるのは当たり前で、自分は特別でないと考えているため、受験の現代文になった際になぜ周囲に現代文が解けない人がいるのか不思議だと感じます。
「現代文は勉強したことはないけどできる!そもそもセンスだし、答えは文中に書いてある!」なんて人もいますね!
そう考えると、やはり読書は大切ですね!
本来であれば、色んなジャンルの本を読んで、知識を付けて、知見を広げ、人生をより豊かにすることはとても大切なことかと思いますが、忙しい高校生達にとって、大学受験のためだけに本を読むことは費用対効果、いわゆるコスパは良くなく、むしろ悪いです。
受験学年なら尚更です。
代わりに、同じく河合から出版されていることばはチカラだ!や、Z会から出版されているキーワード読解で現代文で頻出のテーマを押さえておきましょう。
「いやいや、自分には時間があって、本を読みたいので何でもいいから、何かおすすめを教えて下さいよ!」
という方は、石原千秋氏が書いている教養としての大学受験国語をおすすめします。
本書は教養として知っておきたいことを実際の入試問題から抜粋している、いわば逆輸入のような本です。
時間がある方はぜひ読んでみて下さい。
さて、本題に戻ります。
田村のやさしく語る現代文の難易度と目標大学
最初に田村のやさしく語る現代文のメインとなるターゲット層を紹介します。
本書は、現代文を初めて本格的に勉強する方や苦手な方に向けて、現代文を読解する上での必要最低限の基本のキの字を学ぶことができる参考書です。
ただし、全体で150ページ程のボリュームしかありませんので受験科目に現代文が必要な方は、志望大学のレベルにかかわらず、手に取って欲しい参考書でもあります。
また、ターゲットとなる大学に関しては本書内では中堅私大まで対応していると記載されている通り本書単体のみで対応可能なのはギリギリ大東亜帝国までのレベルと考えます。
前述の通り、本書で学べるのは現代文読解の基本のキです。
料理で例えると、焦がさずに卵焼きが上手く焼けるかも..?くらいのレベルです。
後述していますが、日東駒専以上の成成明獨國武やGMARCH、早慶上智を志望する方は、本書を利用したのちにより、問題文の分量が多い問題集で読解演習に取り組むことをおすすめします。
田村のやさしく語る現代文はどのような教材なのか?
・現代文の基礎を身につける第一部と実際に入試現代文に挑戦する第二部で分かれています。
・本書のタイトルの通り、田村氏が語り口調で現代文の解法を0から一つずつ丁寧に解説してくれています。
田村の優しく語る現代文は、元大手予備校代々木ゼミナールの田村秀行氏によって書かれた参考書です。
冒頭では、「この本を開くだけで、もう人とは違う出発点に立ってるんだな」と読者を承認してくれたり、第二部の実践のパートの冒頭では、「問題のほうもちゃんと開いてるか?」など、田村氏の温かい人間味溢れるコメントと表現の中で進んでいくため、まるで隣に田村氏が隣に寄り添ってくれているかのように思える参考書です。
現代文、もっと言うと活字、本に抵抗がある方でも読み進めることができるでしょう。
※第二部の所から、語り口調の本書を読み終えた読者が他の参考書や実際の入試問題に取り組む際に文章のギャップを感じないよう、田村氏の優しい会話調から固い口調に変わります!笑
田村のやさしく語る現代文の効率的な使用法とは?
・第一部を読み進め、その後第二部を読み進める。
・実際に問題演習に取り組み、本書が完璧になるまで繰り返す。
本書の効果的な進め方は、まずは第一部のところを読み進めます。
第一部は大きく3つに分かれており、一つめのパートでは、「そもそも現代文ってこういうものだよ。」「筆者の意見を客観的に理解しようね!」「君の主張を述べるのは小論文だよ!」など、そもそも大学受験の現代文って?といつ根本の所を学ぶことができます。
2つ目のパートでは、”助詞””接続詞””指示語”と言った現代文読解力養成する上では必須の気をつける部分について学べ、3つ目のパートでは、”論理的に文章を読む”ってどういうこと?という点について学ぶことができます。
田村のやさしく語る現代文のおすすめできる人は?
繰り返しになりますが、本書は田村氏の優しい語り口調のもと進んでいく参考書になります。
現代文が嫌いな人や、苦手な人であっても取り組みやすいです。
むしろ、これ以上優しい現代文の導入書はないかと思います。
また、これから初めて現代文を本格的に勉強する方にとっても、本書は非常に丁寧な参考書ですので最初の一歩としても非常におすすめできます。
田村のやさしく語る現代文のおすすめできない人は?
既に別の参考書などで、現代文の基礎基本にについて勉強をしていて、沢山の問題演習に取り組みたい方には本書はおすすめできません。
全レベル問題集などの演習量が多い問題集で演習を積みましょう。
田村のやさしく語る現代文の後に進むべき教材を志望校別に紹介
大東亜帝国レベル(SS50)が志望校
本書を終えた方は、現代文について、客観的に読むこと、指示語に気を付けること、論理的に読むことの大切さが分かった状態かと思います。
加えて、大学入試レベルの漢字や語彙と、現代文で良く出されるテーマを勉強すれば、東亜帝国の現代文の入試レベルであれば、既に対応できるため、赤本を用いて過去問対策に入りましょう。
漢字の教材は、そんなに大差がないため、基本的には何でも大丈夫です。
何を使えば分からない、おすすめを教えて欲しい!という人は、河合より出版されている『入試漢字マスター1800+』や、駿台より出版されている『生きる・漢字語彙力』をおすすめします。
現代文テーマについては、こちらも多くの参考書が出版されていますが、その中でも比較的平易な同じく河合から出版されている『ことばはちからダ!』をおすすめします。
※書店でことばはチカラだを手に取る事ができ、もっと読み応えを!という方は『現代文キーワード読解』をおすすめします。
赤本に進んで、得点出来ない方は演習が必要なため、日東駒専以下を参照下さい。
日東駒専レベル(SS55程度)が志望校
日東駒専を志望する方は、上記に加えて、少し文章の構造を捉えられる力を身につけられるといいかと思います。
おすすめの参考書は『河合の入試現代文へのアクセス(基礎編)』です。
文章の量に大きなギャップはなく、違和感なく接続できるはずです。
ちなみに『入試現代文へのアクセス(基礎編)』についても記事を書いていますので、読んでみて下さい。
成成明國獨武レベル(SS60程度)が志望校
成成明國獨武の現代文の入試レベルになると、上記の『現代文へのアクセス(基本編)』を終えただけでは厳しいかと思います。
同シリーズの『現代文へのアクセス(発展編)』に進み、より抽象度の高い文章や難易度の高い設問に取り組み、慣れておくことをおすすめします。
GMARCHレベル(SS65程度)が志望校
GMARCHの現代文の入試レベルだと、上記の『現代文へのアクセス(発展編)』だけで難しいかと思います。
『現代文へのアクセス(発展編)』に加え、駿台より出版されている『現代文読解力の開発講座』に進み、より高度な読解演習と要約の練習を行うことをおすすめします。
この辺りのレベルから、設問の選択肢も非常に複雑となってきます。
複雑な選択肢の中から精緻に正当を選ぶために、例え選択式の問題であっても、与えられた選択肢から正答を選ぶ受け身的な解答ではなく、解答を自身で記述で用意できる位の力を身につけましょう。
そのためには、『現代文読解力の開発講座』がピッタリかと思うので、本書で要約できる力を養成しましょう。
早慶上智レベル(SS70程度)が志望校
『現代文へのアクセス(発展編)』『現代文読解力の開発講座』と進み、過去問研究に進むことをおすすめします。
ただし、GMARCHの入試よりもさらに文章の内容が抽象的であったり、より難解なテーマから出題されることもあるので、志望学部の赤本を用いて繰り返し対策を行いましょう。
『現代文読解力の開発講座』がスラスラ解けるレベルであれば、早慶上智の現代文読解や過去問研究にリーチする力は十分にあります。
特に、早稲田の現代文は学部によって出題傾向が大きく異なり、また、現代文と古文が融合された文章が出題されることもあり上、そこに漢文が含まれるといった特殊な文章から出題されることもあり、対策が必要です。
早稲田志望の受験生は、志望学部の現代文を複数年解き、誰よりも過去問研究に取り組む必要があります。